生産・繁殖者の問題点〜パピーミル問題・ブリーダー崩壊問題〜


犬や猫の生産とは、いわゆる繁殖のことです。法律上犬や猫は「命あるもの」という扱われ方をしますので、行政文書などでは物品に対して用いるような「生産」という言葉が当てられますが、一般人の感覚からすると奇異な感じがします。

犬や猫の生産者は通称ブリーダーと呼ばれ、ブリーダーは動物愛護管理法上、小売業者と同様に「販売」の登録が義務付けられているものの、公的な資格等ではなく、動物取扱業の登録をすれば誰でも始めることができる職業です。

犬や猫の生産者は、基本的にはスタンダード(品種登録団体が決める、外見に関する取り決め)に添った形で犬や猫を繁殖させて子犬や子猫を増やし、それをオークション(せり市)、小売(ペットショップ・通信販売・移動販売)、消費者などに売ることで経営を維持します。犬・猫の生産に関わる形態は、主に以下のようなパターンに細分されます。

・専業繁殖者

・ブリーダー

・ペットショップ経営兼繁殖者

・趣味的一般繁殖者

どれか一つの業態を専業的に行っている業者のほか、複数の業態にまたがる形で経営を行っているところも多いようです。ブリーダーが、直接消費者に犬猫を販売したり、ブリーダーとショップの仲介をしたりするという「生産+卸売+小売」の業態です。

少数犬種(多くは1犬種)だけに専念して繁殖を行い、遺伝病や社会化期にケアしながら健全な子犬を提供しようと努力している人たちをブリーダーと呼ぶのに対し、多くの犬種を1ヶ所に集め、まるで工場において機械部品を大量生産するかのように子犬を次々と繁殖させる人たちのことを、繁殖屋、もしくはパピーミル(子犬工場の意)と呼び分けることもあります。

パピーミルは、犬猫をケージに軟禁し、自分の利益のために動物の5つの自由(飢えと渇きからの自由・不快からの自由・痛み、怪我、病気からの自由・恐怖や苦悩からの自由・正常な行動を表出する自由)をないがしろにしていることから、しばしば問題視されます。

5つの自由とは、アニマルウェルフェアに早くから取り組んできたイギリスにおいて、家畜動物の福祉向上を目的として1960年代に定められた基本方針のことです。FAO(食糧農業機関)やWHO(世界保健機関)の委員会でもこの基準に沿ったガイドラインが採択されており、現在の国際的な福祉基準として浸透しています。

イギリスでは「犬の繁殖に関する法律」および「犬の繁殖と販売に関する法律」により規定され、「繁殖屋」や「パピーミル」の数をなるべく減らそうとする姿勢が見られます。 

《イギリスにおける繁殖法規》

・年間5匹以上の動物を出産するブリーダー、および頭数にかかわらず動物を売ることを生業としているブリーダーは所属する地域の管理局から免許を取得すること

・繁殖・取引の正確な記録を保管すること

・12ヶ月に満たないメスに出産させないこと

・犬は生涯6回までしか出産はさせてはならないこと

・一度出産すると、12ヶ月経たないと次の出産はしてはならないこと

パピーミルが横行したり、頻繁にブリーダー崩壊が起こる背景には、日本における法規制の緩さが一因としてあるものと思われます。

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