保護犬をしつける〜『リトレーニング』〜


今この時も、日本中で多くの犬が新しい家族を待っています。犬や猫の殺処分問題についての関心が高まり、保護センターなどに持ち込まれた犬猫が里親に引き取られていく「譲渡率」はここ数年増加していると言われています。しかしながら、その幸運をつかむのはほんの一握り。犬たちが新たな家族を探すスタートラインに立つために『リトレーニング』と呼ばれる心のリハビリを兼ねた基礎トレーニングに注目が集まっています。

保護犬の中には、一度人間に捨てられたり、虐待を受けてきたり、心に傷を負ってしまった犬が多くいます。 保護犬の心の傷を癒してあげたり、トラウマを解消してあげるリハビリやしつけのことを「リトレーニング」と言います。このリトレーニングは、保護犬のその後の犬生を左右するほど重要なものになって来ます。飼育放棄などで飼い主を失った場合、動物保護団体などを通じて、新しい飼い主を見つける譲渡活動が行われることがあります。 この時、いかに早く里親が見つかるかは、その子の気質と「リトレーニング」の様子で大きく左右されると考えられています。 簡単に言うと「しつけのし直し」や「トラウマなどからの回復・リハビリ」を意味しています。 特に、人間不信に陥っていたり、全くしつけがされずに放棄された犬の場合などは非常に必要とされるものです。

「新たな家族を見つけるのがむずかしい」と判断されてしまうのは、極度の人間不信で触れることすら出来ない犬や、人や他の犬に対して本気で噛みつきに来る犬、老齢などその理由はさまざま。

里親を探すうえで「人間が好き」ということは大きなアドバンテージになります。人間に対して攻撃性を持つ犬は里親募集をすることすら躊躇われるものですし、恐怖心などから人になつかない犬はなかなか貰い手がつかないのが実情。 

リトレーニングの中で最も重要だとされていることが「人とフレンドリーに接する」ということです。保護された犬の中には、虐待をされたりひどい環境で育ち、人間に対してひどい恐怖心を抱いている子が少なくありません。怖さゆえの攻撃性を持つ子も数多くいます。 しかし、そのままの状態で新しい飼い主を見つけることは、ほぼ不可能です。 懐きもせず、歯をむき出す犬を飼おうと思う人は、やはりいないのです。 そのため、人に慣らし、トラウマを解消しながら、触られることを嬉しいと感じられる犬へと向かわせることが、まず第一に行われなくてはならないことだと言われています。  


人に慣らすことと同様に、家庭内で落ち着いて過ごすためには、一般的な家庭のまわりに存在するあらゆるものに慣らして、ルールを教えておく必要があります。(保護犬の多くは「一般的な平和な家庭」で育っていない場合が多いのです。) たとえばソファや家具をかじらないこと、家にいる猫や鳥を攻撃しないこと、車を見ても怖がらないようにすること、掃除機の音にびっくりしないようにすること…数えきれないほどたくさんのことがあるのです。 引き取り候補がいる場合、出来るだけスムーズにその家庭になじむために、その家庭の事情に合わせたリトレーニングを行うととても有効です。 

基本、トレーニングは新しい飼い主と一緒にするのが良いです。お座りやお手などのトレーニングは、後からいくらでも出来ます。もちろん時間はかかるかもしれませんが、信頼関係を築いてから、根気よく教えていけば、必ず出来るようになります。 それよりもまず必要なのは心の傷を癒し、人と関わることに幸せを感じてもらうことなのです。

トレーニング方は1つではなく何種類かあり、極端に言うと「厳しく緊張感を持つ」方法と「長所を伸ばす」方法があります。

前者は大型犬やヤンチャすぎるわんこに効果的で、競技会やショーなどに参加する時に強さを発揮します。一方で、一般の方がしつけるには難しく、訓練士さんにしか服従を示さなかったり、反発する子も。

後者は、専門用語で「家庭犬」と分類される、一般的に皆様が飼育しているわんちゃん達によく使われ現在のポピュラーな手法です。飼い主にも家でしつけがしやすく分かりやすい反面、甘やかしてしまったり気持ちが切り替えられず長引いてしまうことも。また、人の声、おやつやオモチャに大きな興味を示さない場合に、ご褒美となる物を見つける必要があります。しつけをやり始めるとつい完璧を求めてしまって躍起になってしまいがちになります。そのような気持ちはわんこにも伝わり、圧を押し付けられて犬も嫌になってしまいます。わんちゃんやお家の方針に合った方法で、人も犬も楽しくトレーニングできるよう心がけましょう。
 

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