保護施設から犬を引き取るという覚悟と勇気について考える

犬との暮らしは人間にとって豊かな時間を提供してくれます。しかし一方で、保護施設に捨てられていく犬達の存在を忘れてはいけません。保護犬の最期を看取るためだけに里親になった女性にスポットライトをあて、人間と犬の関係を考えていきます。

推定14歳という老犬のチェスターは、頭や全身にガンが蔓延して余命も長くない中、一般の保護施設に収容されていました。それを知った安楽死を反対する保護施設Animal Ark Rescueのスタッフ達は、チェスターを引き取り面倒みることに。 しかし、単に死ぬ時間を待っているなんて、あまりにも可哀想。チェスターにも残りの時間を有意義に過ごさせたい、と無理だとは思いながらも里親を募集してみることにしました。

推測は見事に裏切られ、熱いスタッフ達の気持ちに応えるかのように、チェスターを引き取りたいという女性があらわれたのです。 保護施設のホームページでこの事実を知り、里親になることを決意した女性の名前は、ニコール・エリオットさん。 ニコールさんはチェスターの残りの犬生を有意義に過ごせるように「チェスターが生きている間にしたいことリスト」を作成します。 チェスターの体調を看ながら海や川に連れて行ったり、ホットドッグやアイスも食べさせてあげたりと、新しい冒険をさせてあげることができました。

チェスターが動物保護施設に捨てられた時は、毛もボサボサで一切の手入れがされていませんでした。大切な家族である犬が病気になったからといって、手放すしか方法はなかったのでしょうか。

元の飼い主は長年チェスターと暮らしてきたはずですが、どんな時間を過ごしてきたのか?と考えると心が締め付けられる思いです。 ニコール家に新しい家族として迎えられたチェスターは、里親のニコールさんや娘さんのペイズリーちゃんの愛情に包まれて、日に日に目の輝きを取り戻していきました。 きっとチェスターにとっては初めての体験ばかりで、ニコールさん家族から驚きと感動をたくさんプレゼントされたことでしょう。

人間も犬も同じ命に変わりはありませんよね。この世に生まれてくる命に無駄な命なんて一つもないはずです。まして一度は飼い犬として迎えたならば、飼い主は犬に幸せな犬生を送らせる責任があるはず。安易に犬を飼ってしまい、散歩もさせない、体を撫でることもない、話しかけることもない、ただエサだけ与えている飼い主も世の中にはいます。 フェイスブックなどにチェスターとの暮らしぶりをアップしているニコールさんですが、チェスター亡き後も保護犬を引き取っているようです。同時に引き取った子たちとの悲しいお別れも・・・。 ニコールさん家族とチェスターとの短い愛情物語は多くの人々に感動を与え、フェイスブックでは7.6万人からいいね!されています。 彼女のように保護犬を引き取ることができないにせよ、せめて自分の意思で犬を飼ったのなら、どんな状況になったとしても愛情をたくさんかけて最期の日まで育ててあげたいですね。

保護犬の中には虐待を受けて心が歪んでしまい、人間に懐かないケースもあります。保護する時は健康であっても、年を重ねて病気になる可能性もあります。 ましてや全身をガンに侵されていたチェスターの里親になるには、相当な覚悟と勇気があってのことですよね。数週間の命と知っていながら里親になるのは、そう簡単には真似のできないことです。 ニコールさんもチェスターを引き取るにあたり、かなり悩んだのだそうです。それでも里親になる決断ができたのは、『私たちにとって素晴らしい経験になる』という信念があったからでした。

可哀想だから保護犬を引き取る、という思いは人間の一方的な傲慢なのかもしれません。きっとニコールさん家族もチェスターからたくさんのプレゼントをもらったのではないかな。 そう考えると、私たちが犬から受ける恩恵はとても大きいのだと改めて気付かされます。

日本の保護施設では、今日も天国に旅立つ保護犬達がいます。私たちも覚悟と勇気、そして信念をもって保護犬のためにできることを実行していきたいですね。

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