悲劇の殺処分場から助かった多くの命

年間16万匹もの犬や猫が殺処分という悲しい最期を迎えています。その中でも奇跡的に助けられ幸せになった犬も沢山います。今回はそんな犬たちのお話と、私たちに今できることをお伝えします。

殺処分場とは保健所や動物愛護センターのことで、人の身勝手で手放された犬や猫が送られる施設です。決して犬や猫を、しばらく預かってくれるところではありません。現在、毎年16万匹ほどの犬や猫が殺処分されています。しかし、その殺処分にかかる費用は、保護した犬や猫を十分に飼育してあげれる額と同額ぐらいだということは、意外と知られていません。保護や里親探しなどの手間が掛かるからという点で、殺処分されているのが現状です。また、保健所が犬や猫をしばらく預かってくれて、助けてくれるところと思っている方がまだまだたくさんいて、そのせいで保健所に運ばれてしまう迷い犬も多いそうです。

保健所や動物保護センターに収容された犬や猫たちのほとんどは、飼い主の元に帰ることなく、悲しい最後を迎えます。しかし、そんな悲しい中でも助かって幸せになった犬もいます。

あるゴールデンレトリバーの仔犬のお話です。その子は仔犬と言っても、もう半年以上が過ぎていて、体は成犬のゴールデンレトリバーに近い大きさになっていました。地元で自営業を営む男性が、ある日道端で彷徨っているこのゴールデンレトリバーの仔犬を発見し、保護しました。大抵の人は迷い犬を見つけると、保健所に連れて行きます。この方もそうでしたが、その時対応した職員さんから、「このまま飼い主が見つからなければ殺処分だ」ということを聞いたその男性は、その子を自宅に連れて帰り、飼い主が見つかるまで預かるこにとしたのです。

その後、飼い主は現れませんでしたが、そのわんちゃんはこの男性のお店の看板犬となったそうです。危うく殺処分行きだったこの子は、優しいこの男性に命を救われました。この子を捨てた飼い主はなぜ、可愛いさかりのこのゴールデンレトリバーを捨てたのかはわかりませんが、よく聞く話が、『仔犬なのにもう大きくなったから』という、とても身勝手な理由です。

捨てられる犬は、こんなどうしようもない理由で捨てられ命を落としていくのです。自らの手を汚すわけではないので、もしかしたら罪悪感を感じていないかもしれませんが、それは間違いなく捨てた飼い主が殺したも同然です。人間は命を捨てるのではなく、命を助けることのできる能力があるのです。それを私たちは忘れてはなりません。

以前、Hello dog のブログでもご紹介しましたが、『夢之丞』という犬をご存知でしょうか?この犬は世の中で一番有名な殺処分場から幸せになった犬で、とても立派なヒーローです。広島県動物愛護センターで、ただただ死を待つ仔犬がいました。冷たくて恐くて、震えているこの仔犬。周りの犬たちはどんどん殺処分される中、この仔犬もいよいよその番が迫っていたのです。そんな時、災害支援などを行う団体、NPO法人ピースウィンズ・ジャパンのスタッフがその仔犬を助け出したのです。ピースウィンズ・ジャパンではその時災害救助犬になれる素質のある犬を探していました。しかし、連れて帰ったこの仔犬はなかなか心を開けずゲージの中で縮こまって怯えていました。その時の仔犬を見てスタッフは『救助犬に向いているとはいえないのでは』と不安に思っていたそうですが、そこからスタッフが懸命にお世話をし、たくさんの愛情を注いだ結果、とても人懐っこい犬に育てることができたのです。そしてこの仔犬には名前がつき『夢之丞(ゆめのすけ)』と名付けられたのです。夢之丞は、徐々に災害救助犬の訓練を始め、やがて立派な災害救助犬となり、去年の広島土砂災害現場での行方不明者を発見するという大仕事をやり遂げたのです。そしてネパール地震の被災地へも、夢之丞へ向かいました。瓦礫ので足場も悪く危険な被災地で、一人でも多くのネパールの人を助け出そうと、夢之丞は懸命に努めました。

夢之丞の災害救助犬としての犬生はまだまだ始まったばかり、自らの命の危険も顧みず、人を助けている夢之丞の姿や表情はとても誇らしく、立派です。一度は人に捨てられ、憎んでもいいはずの人間を助けている、そんな夢之丞の姿を、私たちは忘れてはなりません。そして、これからの夢之丞の活躍を見守っていきたいものです。

私自身も、殺処分についての文献を読み進めたり、沢山の動画をみてきました。殺処分場から救われた子や、道端で途方にくれ、彷徨っていた子など、本当にこれが日本の現実なのか、本当にこれが心がある人間のやることなのかと、切なく哀しい想いに苛まれました。そして私自身の愛犬も、幼少期に捨てられ、もう少し遅ければ、殺処分場ゆきの犬でした。この子が殺処分されていたらと思うと、今の現状には感慨深いものがあり、決して目を背けてはいけない問題だと感じております。殺処分場という悲惨なところから、幸せになれた犬はまだまだ少ないです。ですが、1頭でも多くの犬を殺処分場から救いたいと願い懸命になっているボランティアさんは全国にたくさんいらっしゃいます。そしていつか、殺処分場という場所がなくなることを願わずにはいられません。

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