「脱ペットショップ」 犬や猫の販売をやめ、保護犬・猫の譲渡を事業に〜千葉の会社の挑戦〜

JR千葉駅から車で10分ほど。ペットショップ風の店内に入ると、何かが違う…。中央にフードや玩具の売り場、左手にトリミングサロン。ペット販売のショーウインドーはどこにもなく、その代わりに木製の囲いがいくつか。その上には里親募集の言葉。囲いの中にいるのは、子犬ではなく、成犬です。

実はこの店、1年前までは「ジャングル」という名前のペットショップでした。2015年10月、(株)アークスが「ジャングル」のペットショップ事業を引き継ぎ、2016年7月にペットの生体販売をやめて、現在のペットの複合施設「アニマルライフ千葉本店」に生まれ変わったのです。

生まれ変わったアニマルライフの外観。

ペットショップ時代の店の外観。

「20年以上続けた生体販売をやめました。譲渡事業にかわりもうすぐ1年になります」そう説明するのは、アニマルライフの社長の竹堂佳紀さんです。アニマルライフには、動物病院も併設されています。ICUなどの設備を持ち、大学病院と連携。ボランティアが連れてくる保護猫の避妊手術も常時受け付けています。2階には、犬、猫、ウサギなどエキゾチックアニマル用の広々したペットホテルや、老犬・老猫ホーム、しつけルーム、屋上にはドッグランも備えた、複合型施設なのです。

木製の里親募集コーナーには、身を乗り出す元気な茶白のミックスの犬がいました。貼り紙にはこう書いてあります。

〈きなこ推定6~8歳 女の子 お預かり先=千葉動物保護指導センター 備考=男の人と子供が苦手〉

竹堂さんは「『きなこ』は今年の3月に、千葉市の動物保護指導センターからここに連れて来ました。とてもおとなしく、よい子です。きなこの隣にいるミニチュアダックスの『ぴょんぴょん』(15歳)は、ペットショップ時代からいた(看板犬だった)子です」と説明されました。アニマルライフでは市などで保護された犬に加え、ペットショップ時代に販売していた犬の新たな家族も探しています。業態を転換したきっかけは何だったのでしょうか?

「転機は経営が変わってペット事業を見直したことです。ペットの生体を売ることにスタッフ自身が疑問を持ち、世の流れ的にも生体販売をすることが合わなくなってきた。その中での決断でした」

アニマルライフには「ぴょんぴょん」のように、ある程度の年齢に達した純血種の犬も複数います。主に、ペットショップ時代に売れ残ってしまった子たちです。「他のペットショップさんはわかりませんが、うちでは売れ残った犬や猫たちはお店でずっと面倒を見続けています。これまでに里親さんにお引取りいただいたり、スタッフが引き取ったりしたケースもありますが、まだ残っている子たちもいます。過去にはショップでブリード(繁殖)を行っていた時代もありました。私達はそうした責任も踏まえて、その子たちの幸せなくして、保護譲渡活動は行えないと思っています」

そのために、保護犬と純血犬とが同じように並んでいるのです。

15年間、ペットのジャングルでスタッフとして働いてきた笹谷佐知子さんはいいます。

「お子さんが小さいから子犬や子猫と一緒に成長させたいという考えの方もいる。押し付けるわけでなく、成犬を引き取るという選択肢もある、ということをお知らせしたいですね」

アニマルライフでは、希望者はいつでも飼い主を募集している犬や猫に会うことができるほか、月に1度、大規模な譲渡会を開いていまし。譲渡する犬は、インストラクターが問題行動などを起こさないようにトレーニングします。譲渡前には、どんな風に迎え入れてくれるのか、家庭訪問にも行きます。譲渡の際は、避妊・去勢手術、ワクチン接種、検査などにかかった費用として、引き取り手から一律35,000円をもらいます。昨年7月からの約1年で、ペットショップ時代からいた犬猫を含め、犬26匹と、猫6匹に新たな家族が見つかりました。生体販売をしていないことを知らずに、今まで通り「純血の子犬を飼いたい」と訪れる人もいます。しかし説明をすると、店で飼育していた成犬や、保護犬を引き取るケースもあるといいます。

千葉県市川市にも、ペットショップから業態を変えた「アニマルライフ南行徳店」があります。こちらはまだガラスのショーウィンドーのままだが、いずれ改装して、ペットショップのイメージを一新したいといいます。ペットの複合施設に変わったアニマルライフだが、経営は楽ではありません。竹堂さんは「全体の収益は動物病院やトリミングサロンなどに頼っていますが、全体でも赤字です」と話します。

「私は業態が変わった後、途中から社長に就きました。ペット業界を知らずに飛び込みましたが、えっと思うくらい事業の運営は厳しい。それでも引き受けたのは、譲渡という形がこれからの時代に必要だと思ったから。飼育放棄や殺処分などの現実を知り、助けたい、命に関わる仕事につきたいという思いが高まりました。スタッフの実直さを目の当たりにしたことも後押しになっています。千葉動物保護指導センターには、『きなこ』のように飼い主さんに見捨てられた子、前の飼い主さんが首輪をきつくしめたまま成長して首輪の跡が残る猫、捨てられ畑でさまよっていた子など、人の都合でつらい思いをした子が多くいる、その子たちを幸せにするお手伝いができればと思っています」

試行錯誤で苦労の連続というが、竹堂さんもスタッフ陣も前向きです。

「私どもの活動を広げ、まず千葉県内にいる犬や猫を救い出したい。殺処分ゼロという数字だけでなく、ペットに対する意識改革が必要だと考えています」

2017年に開設一周年を迎えた株式会社アークス代表取締役 竹堂佳紀社長のコメントをご紹介したいと思います。

『いつもアニマルライフ活動を応援いただきありがとうございます。アニマルライフの竹堂です。沢山の方から支えていただきまして、7月1日アニマルライフ千葉本店は開設から一年を無事に、迎えることが出来ました。本当に言葉では語り尽くせないほどの感謝の気持ちで一杯です。皆様、本当に本当にありがとうございます。

ペットのジャングルからアニマルライフへ店名を変え、生体販売をやめて毎日譲渡会を店舗で開催させて頂き多くの方にご賛同頂きご来店頂けるようになりました。

サービスを転換した後も、アニマルライフの活動にご賛同頂きご利用を続けてくださっているペットのジャングル時代からの皆様

アニマルライフの活動を遠方から通販などでの商品購入を頂き応援頂いております皆様

千葉本店、南行徳店を普段からご利用頂いている沢山の皆様

SNSを通じて、シェアやフォローをいただいております皆様

遠くは福岡、広島、大阪、神奈川、東京と千葉を越えて広がる輪の中で皆様

あっての私達だと実感することがこの一年本当に沢山ありました。

昨年7月から、ペットのジャングル時代のワンコも含めて、40匹を超える子達が、新しい家族のもとで幸せに暮らすことが出来ております。本当にありがとうございます。

最後に、これまでの運営にあたり様々な企画をサポートし続けてくださっている企業の皆様、いつも的確な助言を下さるボランティア様、本当にありがとうございます!

皆様の支えなくしてこの1年はありませんでした。

今後も、アニマルライフの活動を日頃より支えてくださっている皆様と共に、1匹でも多くの子達を新しいご家族に迎えて頂けるように、今までもこれからもまっすぐに前を向いて活動を続けてまいります。

まだまだ私たちの取り組みは始まったばかり、課題も山積みです。トンネルを抜け出せた訳ではありませんが僅かに見えてきた光を頼りにこの先も活動を継続してまいります。今後ともよろしくお願い申し上げます。』

私はアニマルライフさんの、この素晴らしい取り組みに感動しました。まだまだこれからも、生体販売、ブリーダー、ショップのあり方、飼い主さんとの暮らし方を変えていかなければいけない事が山積するなかで、内側から変えようとしているショップがある事に、この先の光が見えたような気がします。

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