パピーミルから救出された84匹のグレートデーン。

アメリカ、ニューハンプシャー州のパピーミルから、84匹ものグレートデーンが救出されました。捜査にあたった警察や動物愛護団体はあまりの事態にショックを隠し切れなかったとの事です。グレートデーンの成犬や子犬たちは、大邸宅を隠れ蓑にしたアンモニア臭の漂う不衛生な家で飼育されていたのです。

アメリカ、ニューハンプシャー州中部のリゾート地の一角に、400坪を超える敷地に建つ大豪邸。ここがグレートデーン84匹が救出され子犬工場の現場です。 地元住人から犬の吠え声に関する多くの苦情が警察に寄せられたことが事件発覚のきっかけとなり、5月から捜査を開始し捜査令状を発給。 2017年6月17日、立ち入り捜査の結果、不衛生な環境下で飼育されていた84匹ものグレートデーンが救出されたのです。 ケージに隔離されている犬、大部屋にまとめて入れられている犬など飼育場所に違いはあれど、すべてが不衛生な環境でした。 警察と一緒に子犬工場に踏み込んだ動物保護団体『The Humane Society of the United States(HSUS)/米国ヒューメイン・ソサエティ』は、このときの様子を次のように語っています。 「外からは豪華に見えましたが、私たちのチームが住居に入ると外観とはまったく違く世界がそこにありました。 犬たちの糞尿が放置されたままでアンモニアレベルは非常に高く、すべての壁に糞が付着していました。 また、グレートデーンという大型犬種がこうした子犬工場で扱われていることにも強い衝撃を覚えざるを得ません。 私たちはパピーミルが飼育するのは、ヨークシャーテリアやフレンチブルドッグなど小さな犬種を考えていたからです」

グレートデーンの多くは成犬でしたが、彼らは一切の手入れをされていなかったため、ある犬はガリガリにやせ衰え、またある犬は精神が崩壊していたと言います。さらに、不衛生な環境の影響で彼らの大きな足は何らかの感染症にかかっており、チェリーアイと呼ばれる目の病気により真っ赤な目をしたグレートデーンもいました。 独立したケージに入れられている犬は繁殖に使われていたと思われますが、放置されている犬たちは型が悪かったか病気などの理由で、子犬のときに売れ残った個体が成長したのではないかと筆者は推測します。 成犬になったグレートデーンはポニーほどの大きさがあるため、救出された犬が入ったラージサイズのケージは数人がかりで持ち上げられ、次から次へと輸送車に運び込まれました。

子犬も含めたグレートデーンの数は84匹。子犬工場から救出された全頭は、HSUSの避難所で面倒を看ることになります。 まずは病気の治癒、精神の修復に取り組むことになりましたが、ほったらかしでケアもされずに生きてきた彼らには「本当の愛を教えてあげたい」とスタッフたちは語っています。 しかし、これだけの数の飼育に多額の費用がかかるのは目に見えています。HSUSでは、モバイルを使った10ドル寄付やAmazonのウィッシュリストからの購入を呼び掛け、多くの人からの寄付金や品物が続々と寄せられています。 今後、子犬工場の責任者の女性には法的措置が科せられますが、裁判手続きがどのくらいの期間続くかわからず、2018年に持ち越される可能性も。 そうなれば、ケアに必要な金額は数十万ドル(数千万円)を超える可能性があるそうです。

これまでもパピーミルの問題に直面し、解決に取り組んでいるHSUSとしては、州の政策を強化しブリーダーライセンスのハードルを上げるよう求めています。 また、救助を待つ犬を助けることは大切なことだが、団体や団体を支える人々の財政的負担は大きなものになってしまうことも懸念しています。 そのためにも、こうした残虐な行為をする人間に対して動物虐待費用の支払いも要求されるべきである、とHSUSでは考えています。 こうしたパピーミル問題は法規制によって予防することが可能であり、人間の勝手で動物が被害に遭うことはいち早くストップさせる必要がある、と団体の代表は語りました。 パピーミルの犠牲犬たちをこれ以上増やさないためにも、愛犬家には「パピーミルから犬を購入しない」「動物愛護精神の高い議員を選ぶ」などが求められるでしょう。そして、育種事業者になるための法律や条例などのハードルを高くし、パピーミルに対しては罰則を重くすることが犬の明るい未来への課題です。

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