『8週齢問題』がもたらす、問題行動による飼育放棄のリスク

日本とアメリカにおける犬の行動特性を統計的に比較したところ、ペットショップから入手した小型犬は、問題行動の危険因子になり得ることが明らかになりました

調査を行ったのは、日本とアメリカによる共同研究チーム。チームは日本とアメリカの両国に暮らしている飼い主に対し、アンケート調査を行い、犬の持つ様々な属性が行動にどのような影響を及ぼすかを統計的に精査しました。

ペットショップで購入された3ヶ月齢以下の犬では「見知らぬ人への攻撃性」「過剰な活動性」「無生物に対する恐怖」「見知らぬ犬への恐怖」「見知らぬ犬への攻撃性」がブリーダー経由の犬よりも高くなる傾向があった事が分かりました。こうしたデータから研究チームは、犬をペットショップで購入する機会が多く、また人気が小型犬に偏っている日本においては、そうした入手ルート自体が問題行動を悪化させるリスクファクターになっているという可能性を指摘しています。

小型犬と問題行動の関連性に関しては一般的に「小型犬効果」と呼ばれ、過去に行われた様々な調査において、その普遍性が指摘されています。一方、犬の入手先と問題行動との関連性に関しては、昔から「ペットショップから入手した犬では、支配性攻撃行動と社会性の恐怖心が高まる」と指摘されています。また近年行われた調査では「ペットショップ経由の犬は同居している人間、見知らぬ人間、他の犬に対する攻撃性が強い/他の犬や無生物に対する恐怖が強い/分離不安や粗相の問題が多い」との結論に至っています。こうした調査結果は「早すぎる離乳は、犬の問題行動の直接的・間接的な原因になりうる」という主張を裏付ける実証データになり、日本における「8週齢問題」を議論するときの論拠になってくれるでしょう。

しかしながら、現在日本国内のペット業界は生後45日から60日くらいの子犬や子猫を売っています。これは、早く飼い主の元に届けないと、大事な社会化期が終わってしまう、ということのほかに、日齢が進めば進むほど子犬や子猫は大きくなり、母性本能をくすぐるようなかわいらしさが徐々に薄れていき、売り上げが落ちてしまう、という事情があるためです。一方、一部の動物愛護派は、この販売時期は動物の性格を形成する上で重要な社会化期の絶頂期(6~8週齢)とバッティングするため、将来的に攻撃性や人見知りなど、問題行動の遠因となる可能性があるとし、反対の姿勢を示しています。

国はどうかというと、2012年8月22日、民主党の環境部門会議で動物愛護法改正案が了承され、生後56日(8週齢)以下の子犬や子猫について、繁殖業者からペット販売業者への引き渡しが禁じられる見通しになりました。これは上記した通り、子犬を親から早期に引き離すと十分な社会性が身につかず、将来的に問題行動が多発して飼い主が飼育放棄する、という犬猫殺処分の一因を減らすことを目的としたものです。法施行後の3年間は「生後45日」(6週齢ごろ)、その後は「生後49日」(7週齢)とし、施行後5年以内に「生後56日」(8週齢)が適切かどうかを、環境省が改めて調査・検討するという流れになります。  ペット業者と動物愛護派のちょうど中間を取ったような法案ですが、「午後8時以降、ペットの展示販売禁止」とともに、この改正案が日本国内の殺処分数にどのように影響するかに注目が集まります。

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